21世紀の医療は、“薬物治療の患者個別化”や疾病の治療以前にある“予防重視”の方向へとシフトしていくと考えられています。また、医療現場での事故防止への危惧から“医薬品の適正使用”と“医療ミス防止”も重要視されており、その全てに薬剤師が大きな役割を担うこととなるのです。こうした時代の要請に応じることができる薬剤師の育成を、本学の目的としています。 |
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2005年の総務省調査によれば、現在国民の5人に1人が65歳以上とされ、さらに2020年には3人に1人へとその割合を高めると予測されています。そして高齢者の増加による医療現場の負担増も間違いないものと言われています。それに加え、2002年の調査から、2001年度の診療報酬のうち1000億円が不要な投薬や検査などに使用されたという、医療現場での「過剰投与、検査漬け」の実態も明らかになてきているのです。
こうした実態を踏まえ、医療保険制度の行き詰まりを避ける意味からも、薬物による副作用をなくし、無駄なコストを削減するために個々の患者に特有の臨床状態と価値観に配慮した”薬物治療の患者個別化”の実践が強く求められています。
さらに生活習慣の改善などによる”疾病の予防”、軽症患者の自己治療による”重傷化の予防”などを基本とする、予防医療の重要性が指摘されつつあります。
こうした時代の要請から、薬剤師の持つ割合は今後ますます大きなものとなり、同時に近年多数報道されている医療ミス、投薬ミスを防ぐ上で、その責任はより重くなっていくと考えられています。
そこで本学では、従来の薬学分野にとどまらない、漢方医療の知識や地球環境をも視野に入れ、患者中心の医療を実践し、セルフメディケーションへ寄与することのできる薬剤師の育成を目的として、一学部三学科を創設します。
2002年、薬学教育の6年制を見越しその改善・充実の方策として日本薬学会か提示した「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」。このモデルカリキュラムに加え、「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」よりの提言を踏まえ、本学では一般教養教育の充実、臨床薬学教育の充実、長期実習などを盛り込んだ6年一貫教育を実践し、さらには「個の医療」「予防医療」へ貢献できる薬剤師の育成を実現することのできるカリキュラムを実践します。
横浜薬科大学4年制薬科学科では、薬学・医学・工学を融合した「創薬研究」を行い、製薬、化学、化粧品や食品等のバイオ・化学産業に貢献できる技術者(マイスター)の養成と生命科学関連の大学院(薬学・理学・工学・基礎医学・農学)に薬学マインドを持つ大学院へ進学できる学生を輩出します。