薬剤師資格の取得ルート|難易度はどれくらい?

薬剤師を目指すには、大学で必修課程を終了させ、国家試験に合格することが必要です。
本記事では、薬剤師の資格取得の方法と難易度について、過去の合格者数とともに解説します。
併せて、資格取得のポイントやキャリアアップを目指せる資格も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
薬剤師資格の取り方
薬剤師の資格は、独学や通信制大学では取得することができません。
薬剤師法では、「薬学の正規課程のうち修業年限を6年とする課程を卒業した者」に受験資格が与えられます。
そのため、薬剤師になるためには6年制課程の薬科大学、または大学の薬学部に進む以外に道はありません。
また、大学入学後は4年次に「薬学共用試験」に合格し、5年次に病院や薬局で実務研修をすることも必須です。
実務研修を終えることによって国家試験の受験資格が与えられ、合格後厚生労働省に登録して初めて薬剤師と名乗ることができます。
参考:厚生労働省「薬剤師法」
薬剤師資格取得の難易度

国家試験の受験資格取得までに6年という長い期間を必要とする薬剤師ですが、試験の難易度はどれくらいか気になる方も多いはずです。
続いては、直近の薬剤師試験において、受験者数と合格者数のデータを見てみましょう。
【直近合格率データ】
・年の薬剤師国家試験合格率は68〜72%で推移。
・直近の2025年(第110回)では、受験者13,310人のうち合格者は9,164人、
合格率68.85%となっている。
・2020年から2024年の5年間も、合格率は約68〜70%で安定している。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 2020 | 14,311 | 9,958 | 69.58% |
| 2021 | 14,031 | 9,634 | 68.66% |
| 2022 | 14,124 | 9,607 | 68.02% |
| 2023 | 13,915 | 9,602 | 69.00% |
| 2024 | 13,585 | 9,296 | 68.43% |
国家試験の合格率は全体の約7割程度と比較的高い水準をキープしていますが、実際にはさまざまな理由によって難易度が上昇しています。
・大学側が学校の合格率を落とさないようにするために、
合格する見込みのない学生には国家試験を受けさせない
・薬科大学や薬学部入学の難易度が高い
・大学入学後、6年間の必修課程を終えられない学生もいる
大学入学の難易度や在学中の成績なども総合的に考慮すると、薬剤師の資格取得は難易度が高いといえるでしょう。
また、上記のうち新卒者の合格率は84〜86%と高いものの、既卒者は40〜50%と低くなり、大学卒業後の期間が長くなるほど資格取得は難しくなる傾向があります。
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薬剤師資格取得を目指す方々へのアドバイス

薬剤師の資格取得は、薬科大学や薬学部のある大学へ入学してようやくスタートラインに立つことができます。
薬剤師を目指し、薬科大学や薬学部のある大学へ入学するための学習ポイントを解説します。
重要科目の基礎固めをしておく
薬科大学や薬学部を目指す場合、試験に必要な重要科目の基礎固めをしておくことが大切です。
四則演算や対数・指数計算などの数学科目、有機化学や生物学に関する問題がスムーズに回答できる学力が求められます。
これらの知識は大学受験時だけでなく、薬剤師になってからも日々の中で活躍するため、欠かさずに自分のものにしておく必要があります。
大学合格だけでなく国家試験も視野に入れ、特に理系科目は重点的に基礎学力の向上を目指しましょう。
定期テストで好成績を目指す
学校の定期テストで好成績を目指すことも、薬剤師になるために重要なポイントです。
定期テストで好成績を維持できれば、一般試験だけでなく推薦入学も視野に入れられます。
推薦入学を目指す場合、病院でのインターンシップやボランティア活動などを積極的に行うことで、内申評価が上がりやすいといえます。
薬学部の勉強・進級の現実を知る
薬科大学や薬学部は、入学しただけで何もかもがうまくいくわけではなく、その後スムーズに進級するためにさまざまな努力が必要です。
合格したことに安心することなく、入学後も学業に対して努力を続けていきましょう。
入学後も真摯に勉強と向き合うことができれば、ストレートで国家試験を受験できる可能性も高まります。
情報収集と将来像のイメージをしておく
薬科大学や医学部はほかの学部と比較して学費が高く、在学期間も6年と長めです。
6年という長い時間を使ってでも本気で薬剤師を目指したいのか、改めて自分に問うことが大切です。
なぜ薬剤師を選ぶのか、どんな薬剤師を目指したいのかを明確にしておくことで、長い期間であっても勉強へのモチベーションを保てるはずです。
関連記事:薬剤師になるにはどうすればいい?社会人や主婦でも目指せる?
薬剤師が取れるその他の資格

国家試験に合格して夢の薬剤師になれたときには、関連する資格を取得することでキャリアアップやキャリアチェンジの選択肢の幅を広げられます。
薬剤師が将来の選択肢の幅を広げたいとき、活躍する資格を紹介します。
薬剤師資格に付属する資格
薬剤師資格を取得することで取得できる資格は大きく「薬剤師でなければできない業務」と「薬剤師であれば取得できる資格」に分けることができます。
薬剤師でなければできない業務
【調剤・薬局業務関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 調剤業務 | 処方に基づく薬の調製・提供 |
| 薬局管理者 | 薬局の責任者(薬剤師) |
| 保険薬剤師 | 保険調剤を行う薬剤師 |
【教育・地域支援関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 学校薬剤師 | 学校の衛生・薬品管理を担当 |
【一般用医薬品販売関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 一般用医薬品販売業の管理者 | 一般用医薬品販売の責任者 |
【製造・輸入販売関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 医薬品製造業の管理者 | 製造・輸入販売所の技術責任者 |
| 総括製造販売責任者 | 製造販売業の品質・安全の総責任者 |
薬剤師であれば取得できる資格(業務)
【公務員系監視・指導職】
| 名称 | 主な業務 |
| 薬事監視員 | 医薬品の製造・販売・流通の監視 |
| 検疫委員 | 空港や港での検疫業務 |
| 麻薬取締官 | 麻薬・薬物犯罪の捜査・監視 |
| 家庭用品衛生監視員 | 家庭用品の衛生監視 |
| 環境衛生指導員 | 公衆衛生や環境衛生の指導 |
| 環境衛生監視員 | 公衆衛生・環境衛生の監視 |
| 食品衛生監視員 | 食品工場や飲食店の衛生監視 |
【管理責任者系】
| 名称 | 主な業務 |
| 麻薬管理者 | 医療機関・薬局で麻薬を管理 |
| 毒物劇物取扱責任者 | 毒物・劇物の管理責任者 |
| 向精神薬取扱責任者 | 精神作用薬の管理責任者 |
| 放射線取扱主任者 | 放射性物質の管理(要講習) |
| 第一種衛生管理者 | 事業所の衛生管理 |
| 特別管理産業廃棄物責任者 | 医療廃棄物等の管理責任者 |
| 食品衛生管理者 | 食品衛生の管理責任者 |
【配置薬関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 配置薬販売業者 | 配置薬販売の薬剤師管理者 |
薬剤師資格があると考慮・優遇される資格
薬剤師の資格があると、受験時に特別な考慮や優遇を受けられる資格があります。
また、薬剤師でなくても薬学部を卒業することで有利になる資格もあります。
薬剤師資格で優遇・考慮される資格
【企業・労働衛生関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 医薬情報担当者(MR) | 製薬企業での医薬情報提供担当(試験あり) |
| 労働衛生コンサルタント | 労働衛生の指導・助言を行う国家資格(試験あり) |
| 作業環境測定士(1・2種) | 職場環境の測定・評価を行う資格 |
【福祉・介護関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 介護支援専門員(ケアマネ) | 実務経験要、介護計画作成などを担当 |
【環境・公害管理関連】
| 名称 | 主な業務 |
| 公害防止管理者(水質1~4種) | 公害防止の管理業務を担当 |
薬学部卒で有利になる資格(一例)
| 名称 | 主な業務 |
| 甲種危険物取扱者 | 危険物の管理・取扱い(試験あり) |
| 弁理士 | 知的財産の専門職(試験あり) |
| 臨床検査技師 | 検体検査の専門職(国家試験あり) |
| 環境計量士 | 環境データの測定・分析(試験・要件あり) |
専門・認定資格
薬剤師となったあと、以下のような資格や認定を受けることで、より専門性の高い薬剤師を目指すことができます。
・認定薬剤師:研修や実務経験を経て取得
・専門薬剤師:がん、感染症、精神科、緩和ケアなど特定分野の高度な資格
・スポーツファーマシスト:ドーピング防止などスポーツ分野で活躍
関連記事:薬剤師には将来性がない?薬剤師としてキャリアアップするためには
薬剤師資格の取得を目指すなら横浜薬科大学へ
薬剤師として将来活躍したいと考えている方は、ぜひ横浜薬科大学で資格取得を目指しましょう。
横浜薬科大学では、薬学教育モデル・コア・カリキュラムに加え、薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議による提言を踏まえたカリキュラムを実践しています。
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まとめ
薬剤師の国家試験合格率は約7割と高そうに見えますが、薬科大学や薬学部への入学は難しく、入念な受験準備が必要です。
また、大学に入学した後も、6年間という長い期間勉強して初めて薬剤師の国家試験を受験できます。
しかし、難関を乗り越えた先には、薬剤師としての未来だけでなく資格を活かしたキャリアアップやキャリアチェンジの選択肢を広げることが可能です。
6年という長い期間を充実した環境で勉強し、薬剤師を目指したいと考えている方は、ぜひ横浜薬科大学もご検討ください。
自然豊かな環境と充実した設備のなかで、「薬剤師になる」という目標を一緒に実現しましょう。