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梶輝行教授が滋賀県でコミュニティ・スクールの講演

2019-06-24
梶輝行教授が滋賀県でコミュニティ・スクールの講演

 6月14日(金)、滋賀県教育委員会生涯学習課主催の「2019年度滋賀県コミュニティ・スクール推進事業研修会」が開催され、本学教職課程センターの梶輝行教授が「コミュニティ・スクールの効果的な導入・推進に向けて」と題して、参加者80名を超える大会の講師を担当しました。

 講演の主な内容は、少子・人口減少が進む中、全国各地で学校の統廃合が進められる中、地域とともにある学校づくりにとって、高校が地域社会に果たす役割とその意義について最初に言及されました。そのうえで、特に高校の場合、立地する地域内のみならず他の地域からも多くの生徒や教職員が毎日往来することで、そこに交通や消費生活のためのインフラが地域社会を支え、地域住民にとっても生活インフルの大きなファクターになっていることを指摘し、その地域に高校がなくなったらどうなるかという問題を提起。地方の事例として、地域に高校がなくなると、それらインフラの問題も起こり、必然的に地域社会の存続にも大きな影響を及ぼすことを具体的に紹介。梶教授は、前職の神奈川県教育委員会での県立高校改革での取組の一つとして、全県立高校のコミュニティ・スクール導入の施策計画を策定した経験を踏まえ、高校にコミュニティ・スクールを導入する目的や取組事例を紹介するとともに、現在急速な動きを見せる山口県や熊本県での県立高校でのコミュニティ・スクール導入の実態を説明。

 平成29年の法改正(後掲参照)を期に、地域学校協働本部の組織が全国的に進められ、そうした組織が学校でのコミュニティ・スクール導入をバックアップするとともに、地域社会の教育力の高まりと地域の活性化に大きくつながり、今後はそのシステムの継続・発展の課題に向けて、学校・教職員も参加して知恵を出し合って、実りある成果につなげていくことが求められると指摘。そのためにも、地域社会と学校とをつなぐ双方向性の確立と協働による具体的な活動の創出が重要であるとも付言。その一例として、梶教授は、現在、横浜薬科大学が神奈川県教育委員会との間に協定を結んでいる県立高校生学習活動コンソーシアムの取組を紹介し、高大接続の一環として、大学の特性と教育力を発揮し、本学教員が高校に出向き、医学や薬学などをテーマに講演を行い、また教育活動のサポートに貢献している様子を紹介。

 梶教授が滋賀県教育委員会の依頼を受けて講演したコミュニティ・スクールとは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(以下、地教行法と略す)第47条の6に定められた地域住民や保護者などを構成員として組織された学校運営協議会を設置する公立学校の呼称。文部科学省によれば、平成30年4月1日現在全国で5,432校の導入へと拡大。地方創設や域の活性化等の期待を担いながら、新たな学校づくりにかかわる制度の一つとして注目されている。平成29年3月に地教行法が改正され、公立学校において学校運営協議会の設置が努力義務になったほか、コミュニティ・スクールの導入を推進し、地域社会の教育力を結集した組織としての地域学校協働本部の設置を介して、従前の学校への地域の支援から協働(対等な関係で関わり合い、働き合うこと)へのパラダイム転換が示唆されるなど、地域のコミュニティとしての学校の役割、地域とともにある学校づくりを通じて、新学習指導要領に示された「社会に開かれた教育課程」の実現を図るうえで、コミュニティ・スクールの導入・拡大に向けた全国的な動きにつながったといえる。

 神奈川県では平成19年度からパイロット校2校によるコミュニティ・スクールの導入研究をスタートし、平成28年度からの4年間で全県立高校がコミュニティ・スクールの導入を実現した。今日までの滋賀県での取組成果は、社会教育の視点から地域学校協働本部の形成・充実が進められ、そこに参加する推進員への研修も重層に行われるなど、コーディネーター役の人材育成にも大きな効果をあげており、同県教育委員会の合田遼生涯学習課長を中心に社会教育主事らの尽力により進められていることを、梶教授は高く評価。滋賀県は全国のコミュニティ・スクールの推進役として今後注目されること、また新たなコミュニティ・スクールの在り方として、学校と地域が対等な関係で取り組む協働の意味合いからも、「連携・協働」から「参画・協働」へと進化することを提起。企画・計画の段階から協働することが、これからのあるべきコミュニティ・スクールの姿であり、それこそが持続可能なコミュニティ・スクールとなることを期待して強調。
 梶教授の高校へのコミュニティ・スクール導入・推進に関しては、共同執筆した佐藤晴雄編『コミュニティ・スクールの研究』(風間書房)及び同編『コミュニティ・スクールの全貌』(風間書房)に掲載された論考に詳しい。また梶教授の単著『高校カリキュラム・マネジメントの基本』(学事出版)の中でも、高校におけるコミュニティ・スクールの導入の意義が論究されている。

 研修会に参加した教職員からは、神奈川県でのコミュニティ・スクールの取組の先進性や少子化の進行に伴う学校存続についての地域の役割などを考える機会となったこと、高校でのコミュニティ・スクールの取組の重要性が理解できたとのこと、さらには横浜薬科大学の高大連携の取組に興味を抱いたとのこと、さらには臨床薬学科に加え漢方薬学科・健康薬学科を設置する横浜薬科大学薬学部の特性とそれらをいかした地域貢献の内容を理解でき、生徒への進路指導のなかで紹介していきたいとのことなど、様々な声が寄せられた。
当日の研修会の様子は、翌日の京都新聞にも以下のような記事が掲載された(6月15日付朝刊掲載)。

 また、滋賀県教育委員会のホームページにも情報提供がなされているので、次から参照されたい。 滋賀県教育委員会の広報・フォトレポート掲載記事 https://www.pref.shiga.lg.jp/edu/gaiyou/koho/photo/303242.html

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